普段の関わり方から注意

認知症ケアにおいて、仕事をする上で押さえておきたいポイントはいくつかあるが、特に介護職と利用者とのコミュニケーションが重要になる。

丁寧に声掛けをしているつもりなのに、どうしても利用者に緊張感を与えてしまうというような問題が起こりやすい。まずは、ふだんの声掛けと違っていないかを確認することが大事だ。利用者に対して何かお願いごとをするときや、時間に追われ拒否されたら困る時だけ、丁寧な声掛けをしても意味がない。ふだんのかかわりの中で、ため口や怒ったような口調、さらには見下したような口調があったとしたら、その場しのぎの丁寧な声掛けは伝わらないことが多いものだ。

業務に追われていると、無意識のうちに投げ捨てるような言葉になりがちだ。また、どうせ認知症だからという気持ちがどこかにあると、相手を見下した言葉になりやすい。自分より年齢の若い介護職にそのような言葉を浴びせられれば不快に感じる利用者がいてもおかしくない。言葉には感情が出やすいため、普段からきちんとした言葉を使うことが大切である。

また、利用者のことを思い、丁寧な声掛けを実行している人でも、緊張しないようにと構えてしまっていることが、利用者に伝わってしまうこともある。加えて、まわりの介護職が忙しそうに動き回っていれば、どう感じているかを考えることが大事だ。介護職のその場しのぎのかかわりに利用者がストレスを感じていれば、どんなに良い声掛けをしても伝わらなくなる。ふだんから周りに見られていることを意識し、声掛けをしている周りの環境や話し方や、視線にも気をつけることと、ふだんのかかわりから信頼関係を築くことが大切だ。